会長挨拶

会長写真

 このたび第64回日本医真菌学会総会・学術集会を2020年10月9日(金)、10日(土)の両日、京王プラザホテルにおいて開催させていただくことになりました。

 日本医真菌学会は1957年に第1回の学術総会が開催されて以来、昨年までに63回の総会・学術集会が催されています。活動の中心となる医真菌学は、生化学や真菌学、免疫学のような基礎医学から皮膚科学や内科学をはじめとした広汎な臨床医学領域を網羅する領域横断型の学体系を成しています。本学会を象徴するこの特色は、自ずと活発な共同研究を生み出す下地となり、学術集会の参加者の中では施設間の垣根を超えた情報交換や後進への助言が盛んに行われてきました。

 これまでの医真菌学領域を振り返ってみると、鳥類や伴侶動物等などを媒介とした病原真菌の伝搬やアゾール系農薬の使用と密接に関係した薬剤耐性真菌、我が国でのカンジダ・オーリスの発見、トンスランスのアウトブレークなど、正にWHOが提唱するThe “One Health” Conceptを具現化した領域統合型研究分野であることに気づきます。医真菌学の歩みは、A global strategy for managing risks at the Animal-Human-Ecosystems interfaceそのものと言えるでしょう。そこで、第64回学術集会のテーマを『ワンヘルス・マイコロジー』とし、広領域統合型研究分野である医真菌学の魅力を再発見し、斯界の現状や将来に向けた課題について、全員で語り合える場としたいと考えました。また、研究分野の特徴を表現する『ワンヘルス』に対して、薬学や臨床検査学などを含めた実臨床における医真菌学の姿を表現するために、「他分野・多職種の共同進化をめざして」という副題を添えました。臨床の現場でも多くの分野の専門家が力を合わせて、難治性感染症である真菌症の制圧に取り組んでいます。

 このテーマの下で学術集会に参加される方々には、自由で活発な討論をして頂くと同時に最新の知見を持ち帰って頂きたいと思います。討論の基礎として最も大切なのは、会員の皆さまが主役の一般演題です。医真菌に関するあらゆる研究課題について議論を深めて、日常の診療や研究の糧にして頂きたいと思います。臨床の分野では貴重な症例の提示と実践的な議論も大切です。

 一方、『ワンヘルス・マイコロジー』のテーマに沿った企画として、基調討論と称したパネルディスカッションを初日の午前中に用意しました。医真菌学における基礎領域や獣医学、臨床医学の泰斗にご登壇をお願いし、領域統合型研究分野である医真菌学の展望ついて討論して頂きます。午後には、現AMED理事長、末松誠先生のグローバルデータシェアリングに係る基調講演とJAXA宇宙科学研究所教授の川口淳一郎先生による『はやぶさプロジェクト』のエピソードやご自身のお考えを披露して頂く特別講演を企画しました。この他、『医真菌学の多分野・多職種の共同進化をめざして』ガイドラインや疫学、症例検討など数々のシンポジウムやアップデートレヴューと銘打った専門家のご講演を企画しています。

 医真菌学に興味を持たれる全ての方々のご参加と活発な議論をスタッフ一同、心よりお待ちしております。

 最後に本会の趣旨をご理解頂き、多大なご協力を賜る企業の方々に心より感謝申し上げます。

第64回日本医真菌学会総会・学術集会
会長 澁谷和俊